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​無書店自治体を走る

走る本屋さん

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 本会は「本と出会う場」をつくる社会実験として「走る本屋さん」プロジェクト」を2016~2017年の2年間に実施しました。

 

 現在、道内では約50の自治体が「書店ゼロのまち」です。この数字は今後、増えこそすれ、減ることはないとみられています。まちから書店がなくなる理由は、長引く不景気やネット通販の隆盛、コンビニの雑誌取り扱い、電子書籍の普及などさまざまに挙げられています。独特の商取引システムを持つ書店業は、時代に応じた商品構成の組み替えや、新サービスの導入が難しい商売でもあり、惜しまれつつシャッターをおろす「まちの本屋さん」が後を絶ちません。

 では、どんな書店なら地域で存続できるのでしょうか。これを「社会実験」で調べてみよう、ということで、当会は2016年4月から「無書店自治体を走る本屋さん事業」をスタートしました。折り良く、2016年2月に当会の被災地支援活動でご縁のある岩手県陸前高田市から「使わなくなった移動図書館車」を譲っていただき、江別市内にステーションを構えました。ここから無書店自治体に「本屋さんの出前」をしよう、という試みです。本を売るのが目的ではなく、読み聞かせや紙芝居など、ボランティアによる読書イベントを開いたり、読書指導の担当者たちとの交流しながら、地域の中で「読書に関するさまざまなチャンネル」を開いていこうというのが狙いです。

 開催回数はのべ26回、道内6つの地域(喜茂別町・妹背牛町・西興部村・鹿部町・初山別村・南富良野町)で展開しました。

 北海道は「無書店率」をみると全国ワースト6位ですが、本道は広大な面積の自治体が多く、隣町に本屋があっても「車で1時間かかる」「峠越えが必要」というケースが珍しくありません。積雪・凍結期ともなれば、いっそう移動がきびしく、本の入手が極めて困難さです。

 また「公共図書館の設置率」でワースト3位、「学校図書館図書の購入予算の措置率」でワースト2位であり、北海道の読書環境を総合的にみると全国ワーストという状況にあります。
 子どもたちにとって読書は大切な学びのチャンネルです。それが著しく損なわれている状況を受け止め、「地域とともに改善・向上を図っていこう」との考えのもと、一般社団法人北海道ブックシェアリングは本年から「社会実験:北海道の無書店自治体を走る本屋さん」を実施し、寄付・協賛金・クラウドファンディングなどによって運営しています。

 

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