活動する背景(北海道の読書環境の現状)

誰もが本に触れられる場所として公共図書館・学校図書館・書店の切り口から読書環境を考えると、北海道の読書環境は全国ワーストレベルです。北海道では、本を読みたいと思っても、気軽に手に取れない状況が続いています。

一方で、小中学生の「読書意欲」は全国平均あるいは平均以上です。子どもたちのために改善していく必要があるのですが、「読みたいのに読めない」という状況は、長年つづいています。

この原因のひとつは、北海道の自治体の面積に関係しています。北海道の町村の平均面積は全国1位で全国平均の2.5倍にもおよぶため、気軽に出かけすぐに本に触れられる環境ではありません。また冬期間は交通が不便なことから、都市部の書店や公共図書館へのアクセスが難しい環境です。

 

さらに、北海道は文科省の新刊購入の指針に対して「半分以下の予算措置」を30年以上続けています。改善傾向はなく、さらなる悪化を辿るものと見られています。書店も減少傾向にあり、大手書店はある程度の人口規模の都市にしか出店しませんので、地域格差は広がる一方です。

北海道の特殊な読書環境

日本の総自治体数(1741市町村)を47都道府県で割ると37になりますが、北海道にはその5倍近くの179自治体があります。そのうち、じつに122自治体が人口1万人未満の小規模自治体です。

(北海道「道内市町村の概要」http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/scs/gyousei/shityousondata.htm

北海道の小規模自治体(人口1万人未満の自治体)

一般社団法人北海道ブックシェアリング2018年12月調べ

書店が1軒もない自治体

一般社団法人北海道ブックシェアリング2018年12月調べ

小規模自治体の読書環境

小規模自治体の半数以上に書店や図書館がなく、さらに学校図書館の図書の更新や人員配備が進んでいない町村が数多くあります。

小規模自治体の書店および公共図書館設置状況

書店は図書カードNEXT取扱店数

公共図書館設置は「○」、未設置は「なし」

 ただし図書館が未設置でも良質の公民館図書室を設置している自治体もある 

 

一般社団法人北海道ブックシェアリング2018年12月調べ

「にわかには信じがたい」と思われる方も多いと思いますが、北海道では図書更新ができずに、学校図書館や公民館図書室に昭和30年代や40年代の百科事典や図鑑、統計、地図帳、書籍などを置いたままになっている自治体が少なくありません。

 

昭和30年代ですと「コンピューター」という言葉すら百科事典には登場していません。また、社会・科学・自然・言語など多くの分野で載っていない言葉や、載っていても現状に照らせば明らかに間違っている記述が数多くあります。これでは、知ろうとすればするほど間違った知識を得てしまいます。

まちで一番大きな図書施設にある地図。国名に西ドイツ、ソビエト、ビルマなどが載っています。

こちらもまちで一番大きな図書施設。百科事典、辞書、法規、判例、白書など、ほぼ「昭和」で占められています。

学校図書もこのような状態の本が少なくありません。また状態だけでなく、内容が現在と合わないものも多く、老朽化・陳腐化が深刻です。

文部科学省「学校図書館の現状に関する調査」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/1378073.htm

学校図書館についていえば、上記以上に深刻なのは「図書予算の予算措置率」(毎年、学校図書館で新刊をどれだけ購入できるかという予算措置)が全国ワーストレベルだということです。

(学校図書館図書関係予算措置状況調べ。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/04/08041815/001.pdf)

 

年々陳腐化が進む学校図書館。そこで北海道の未来を担う子どもたちがなにを学べるのか、そして心が育まれるのか。わたしたちは現状を看過できません。

一般社団法人北海道ブックシェアリングは「道内の読書環境の整備を進め、だれもが豊かな読書機会を享受できる北海道にしよう」を基本理念に2008年、教育と図書の関係者が集まって発足しました。

 

北海道の「本と読書に関するワンストップ」として、この10年、さまざまな活動を進めてきました。そのなかで、本会が想像しているビジョン、本会が取り組むプロジェクトについてご紹介します。