北海道ブックシェアリング設立10周年記念事業

北の読書環境シンポジウム

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 社会課題の解決にあたるNPOとしては、10周年を迎える前に「ミッション・コンプリート(目的完了)して、めでたく解散」というのが望ましいのですが、なかなか世の中、そう簡単に問題は解決しません。というか、北海道の読書環境は、設立時より悪くなっているではありませんか。「いったいなにやっていたんだ、おれたちは?」という自己反省と「次の10年はそうはいかないぞ」という意気込みを織り込みながら、このほど「10周年記念事業・北の読書環境シンポジウム」を実施しました。目的は「課題の明確化」と「課題解決に向けた人的・組織的ネットワークづくり」です。

 当会の活動方針は「地域単位での読書環境の向上するために①公共図書館(公民館図書室を含む)②学校図書館③書店④地域における図書施策(ブックスタートなど)を相互的・補完的に捉え、地域性に応じたベストマッチングを組み立てることで、読み手である住民の利便性を最大化する」ことです。所管する組織・業界の縦軸のひずみ(慣習・しがらみ・馴れ合い)を軽やかにスルーし、未来志向で人と人、組織と組織をつなぐという当会の性格を十二分に理解していただける3人の専門家をお迎えし、第一部は、各分野現状報告とクロストークを実施。第二部は3つの分科会を設け、世代や学齢に応じた「読書のあり方の再定義」を軸に、参加者から多くの知見や提言をいただきました。

 「AII about books(本のことならなんでも)」を旗印にする団体が、「現代そして未来の読み手のために知恵を出し合う」ことを目的に、さまざまな形で本に関わる約70人を集めてシンポジウムを実施するのは、おそらく北海道始まって以来のことだと思います。そしてこれからは、それが「普通のこと」になるよう、当会は引き続き、道内の各地で汗を流し続けたいと考えています。

 第1部は、公共図書館、学校図書館、書店、の事情に詳しい3人のパネリストに、それぞれの現状を報告していただき、「今後の展望と、いま道民ができること」をテーマにディスカッションを行いました。

 北海道の読書環境のレベルは全国平均より大きく下回り、「本も人も(専門員)も足りていない」という厳しい状況です。地域によって格差や温度差が著しく、精力的に読書環境づくりに取り組んでいる自治体もある一方、社会教育全般に意識が向かないまちも少なくありません。各パネリスト、写真やデータを交えて、各地の事例を紹介。参加者は先進事例に感嘆の声を上げる一方で、整備の滞っているケースでは溜息をもらしました。

まとめでは、公共図書館は「暮らしに役立つ図書館」、学校図書館は「社会全体での子どもの読書環境づくり」、書店は「日々、読者に向けて本の魅力を伝えること」がキーワードになりそうです。

滝川市立図書館の「待つ図書館から行動する図書館へ」という先駆的なテーマと取り組みを紹介しながら、「図書館が主体的に『暮らしに役立つ図書館』を目指して行動すべき」と説明しました。その成否の大きなポイントとなるのは、施設と本と利用者をつなぐ「専任職員」の配置です。しかし、道内の公共図書館の現状は厳しく、専任職員の有無が図書館の利用者数を大きく左右しているという現状があります。鈴木館長は、佐賀県伊万里市の図書館を例に挙げ、「住民が主体となって図書館施策を練り上げる手法もある。図書館を使いやすい場にするのは、行政や図書館職員だけではない」と、住民参加型の図書館づくりの可能性も示唆しました。

 鈴木浩一・市立小樽図書館館長から、道内の公共図書館の現状についてご報告をいただきました。鈴木館長は、前職の道立図書館員時代から長年にわたって、読書推進に取り組んでいます。

 冒頭で「これまで図書館が重要視していたのは貸出し数だったが、近年は『にぎわい』『居場所』『情報社会』などをキーワードに、暮らしに役立つ図書館が求められている」と、鈴木館長は新しい図書館像を提示。道内の事例として置戸町立図書館の「本のある広場」や、滝川市立図書館滝川市立図書館の「待つ図書館から行動する図書館へ」という先駆的なテーマと取り組みを紹介しながら、「図書館が主体的に『暮らしに役立つ図書館』を目指して行動すべき」と説明しました。

 大久保雅人・学校図書館協会事務局次長から、道内の学校図書館の現状についてご報告をいただきました。大久保先生は、学校図書館のスーパーバイザーとして全道各地でご活躍されています。

 どの地域にいても一定のレベルの教育が受けられるようにつくられた「学習指導要領」が2017年3月に改訂されました。大久保先生は「新学習指導要領」に書き加えられた「主体的で対話的で深い学び」で学校図書館が重要視されていることを強調し、道内の学校図書館の現状では、学びを深められないのではないかと疑問をもっています。現状では、蔵書達成率も司書教諭の配置状況も極めて厳しい状況です。

 大久保先生は、子どもには「本がある空間・本を教えてくれる人・本を読みあい語り合う経験」が必要であり、その際に重要なのは読書コミュニティだと話しました。

 「北海道子ども読書活動推進計画」では、学校だけではなく家庭と地域の協力を得ながら社会全体で子どもの読書環境づくりに取り組まなければならないと定めており、学校以外の場でも子どもの読書環境をつくることが大切です。しかし、道内には図書館も書店もない地域が約50もあり、学校が子どもたちの読書環境と真剣に向き合わなければいけない現状があると、大久保先生は課題を提示しました。

 佐藤優子・ライターから、道内の書店の現状についてご報告をいただきました。佐藤さんは、ウェブマガジン「北海道書店ナビ」「本のフルコース」などで道内の本に関わる人を8年以上、現在進行形で取材し続けています。

 佐藤さんは、これまでの取材を通して、道内の元気な書店には、共通する3つのキーワードがあると話します。1つめは、砂川市の岩田書店さんのように選書力があること。2つ目は札幌市の俊カフェさんのように積極的にイベントを開催していること。3つめは浦河町の六畳書房さんのようにチャレンジをしていること。

六畳書房さんは、様々な事情でやむを得ずお店を閉めることになりましたが、住民の要望に応え続けたいと願う元書店利用者が「森の六畳書房」として今年春に再オープンしました。今では、このチャレンジを応援したいと、来店する人の多くは町外から来ると紹介しました。

 また、佐藤さんは本と関わる人に耳を傾け続けていて「読書人を急激に増やすことは難しくても、日々、読者になりそうな人に向けて本の面白さを伝え続けることが大切」ということに気づいたと話します。道内の読書を応援したい一人ひとりが、誰にどんな本を勧めたいか考えて読書の輪を広げていってはどうかと提案しました。

 パネルディスカッションの最初のテーマとして、荒井・本会代表理事は、「北海道ブックシェアリングでは、図書館・学校図書館・書店の3つは相互関係・補完関係にあると考え、いずれにも関わりながら活動を進めている。各専門分野から『どっちつかず』と指摘されることもあるが、パネリストのみなさんは本会の立ち位置と活動についてどのように考えるか」と投げかけました。

 鈴木浩一館長は、「行政が設ける研修会や集会では、決まった枠内での参加がほとんどで、タテのつながりが中心になってしまう」と話し、「ブックシェアリングの活動は、本に関わる人全般を対象としているため、広くつながりができる『つなぐ役割』を担っているのでは」と指摘しました。「情報誌『ぶっくらぼ』やホームページを使って情報を発信することで道内の本に関わる人をつないでいる。今後も活動に期待したい」と話しました。

 大久保先生は「これまで『読書環境』に焦点を当てた研修会はなかったように思う。立場にとらわれず、今日の来場者のような意識が高い人たちで集まって、今後も道内の読書環境について議論を進める場が必要。読書環境について考える人を増やすことが、書店・公共図書館がない地域の読書環境整備に影響するだろう」と話しました。

 佐藤さんは「北海道の広さを考えると、実感としてヨコのつながりをつくるのは難しいこと」と強調しながら、全道を活動範囲として活動する本会を「必要な存在」と話しました。本会のこれまでの10年間の活動を「実績をため込んできた10年」と捉え、これから10年は「得たことを発信して」と、積極的な情報発信を促しました。

​ 次に荒井は、図書館数が日書連加盟社数を超えたことを指摘し、書籍だけでなく、出版を含めた図書文化が変わってきたことを示唆。札幌以外の地域では、書籍の流通など古い仕組みのまま取り残されている現状も含みながら、今後10年の北海道の読書環境についての意見を求めました。

 鈴木館長は、新しい図書館像を改めて提示し、本好きだけではなくみんなが利用する図書館を目指していることを再提示。「公共図書館が学校図書館と一緒に子どもの読書環境づくりに取り組むことが必要」としたほか、道内の土地事情に触れ、隣接する地域での協力体制も重要になると話しました。

​ ​大久保先生は、荒井が指摘した札幌以外の地域での読書環境整備が課題になると話します。「いきなり北海道全体をどうするかではなく、まずはエリアごとに、核となって読書環境づくりに取り組む学校図書館や公共図書館をつくることが重要」と指摘しました。大久保先生は指導している学生から「将来、紙の本はなくなりますか」とよく質問を受けるそうです。大久保先生は「答えに迷うところもあるが、子どもたちには、紙の本を読んで深く理解する経験が大切」と説明し、改めて紙の本が持つ力を訴えた。

 佐藤さんは、最近あった出来事を例に挙げながら「細い営みであっても継続して本に触れることが一番効果がある」と話す。1冊読み終えたら、また新しい1冊を手に取る。「いつからでも誰でもできることであるが、『忘れていた』ではなく、ちゃんと本に触れ続けて」と来場者に訴えました。また、子どもがいる家庭では「本を読んでいる親の姿を見せてあげてほしい」と「大人が読書しているか」が子どもに影響することを説明しました。

【資 料】公共図書館の現状報告(PDF)  学校図書館の現状報告(PDF)​  学校図書館資料1学校図書館の出番です(PDF)

​     学校図書館資料2これからの学校図書館の整備充実(PDF)​  学校図書館資料3北海道子どもの読書推進計画第4次概要(PDF)

 

     学校図書館資料4北海道子どもの読書活動推進計画第4次計画(PDF)   書店の現状報告(PDF)

現状報告のレコードグラフィック(グラフィッカー:丸藤健悟)

〈〈パネルディスカッション〉〉

 ディスカッションの最初のテーマとして、荒井・本会代表理事から「北海道ブックシェアリングでは、読書環境整備をするにあたって図書館・学校図書館・書店のみっつは相互関係・補完関係にあると考え、いずれにも関わりながら活動を進めている。各専門分野から本会の活動は『どっちつかず』と指摘されることもあるが、パネリストのみなさんは本会の立ち位置と活動についてどのように考えるか」と投げかけました。

 鈴木浩一館長は、「行政が設けている研修会や集会では、毎回対象のポジションの人が参加するだけなので、タテのつながりが中心になってしまう」と話し、「ブックシェアリングの活動は、本に関わる人全般を対象としているため、『広くつなげる役割』を担っている」と評価しました。「情報誌『ぶっくらぼ』やホームページを使って、情報を発信することで道内の本に関わる人をつないでいる。今後も活動に期待したい」と話しました。

 大久保次長は「これまで『読書環境』に焦点を当てた研修会はなかったように思う。立場にとらわれず、今日の来場者のような読書の重要性を強く認識する人同士で、道内の読書環境について議論をすすめる場が必要。読書環境について考える人を増やすことが、書店・公共図書館がない地域の読書環境整備に影響していくだろう」と話しました。

 佐藤さんは「北海道の広さを考えると、ヨコのつながりをつくるのは難しいこと」と強調しながら、全道を対象に活動してきた本会を「必要な存在」と話しました。本会のこれまでの活動10年間を「実績をため込んできた10年間」と捉え、これから10年は「得たことを発信してほしい」と、積極的な情報発信を促しました。

 

 次のテーマを提示する前に荒井は、図書館数が日書連加盟社数を超えたことを指摘し、書籍だけではなく、出版を含めた図書文化が変わってきたことを示唆。札幌以外の地域では、書籍流通の仕組みなど古いやり方のまま取り残されている現状も含みながら、ディスカッションテーマとして、今後10年の北海道の読書環境についての意見を求めました。

 鈴木館長は、新しい図書館像について改めて強調し、図書館は本好きだけではなく、多くの住民が利用する場所を目指していることを提示。「公共図書館と学校図書館が一緒に子どもの読書環境づくりに取り組むことが必要」としたほか、道内の土地事情に触れ、隣接する地域同士の協力体制も重要になると話しました。 

 大久保次長は、荒井と同様、札幌以外の地域での読書環境整備が課題になると話します。「いきなり北海道全体をどうするかではなく、まずはエリアごとで核となって読書環境づくりに取り組む学校図書館や公共図書館をつくることが重要」と指摘しました。大久保次長は学生から「将来、紙の本はなくなりますか」とよく質問を受けるそうです。それに対し「答えに迷うところもあるが、やはり子どもたちにとって、紙の本を読んで深く理解する経験が大切」と説明し、改めて紙の本が持つ力を訴えました。 

 佐藤さんは、最近あった出来事を例に挙げながら「細い営みであっても、継続して本に触れることが一番効果的だ」と話します。「1冊読み終えたら、また新しい1冊を手に取る。いつでも誰でもできることだが、おろそかにせず、きちんと本に触れ続けてほしい」と来場者に訴えました。また、子どもがいる家庭では「本を読んでいる親の姿を見せてあげてほしい」と話し、「大人がどれだけ読書をしているか」が子どもに影響することを説明しました。

 

 最後のディスカッションテーマとして「北海道、札幌に住む私たちができる未来の読書環境のためにできること」についてパネリストに意見を求めました。

 鈴木館長は、佐藤さんの「読書している大人の姿をみせること」について賛同し、「北海道子どもの読書活動推進計画」に記載されている、みっつの読書する場を提示しながら見解を述べました。この計画では「地域・家庭・学校」が読書するみっつの場としてあげられており、「学校は学校図書館、地域では公共図書館がはたらきかけるが、家庭に踏み込むことは難しい。ぜひ子どもに読書する大人の姿を見せてあげてほしい」と、家庭での取り組みの重要性を訴えました。

  大久保次長は鈴木館長の意見に賛同しながら、「子どもの読書に直接書関わり続けることが、子どもの読書を考える上で大切」と自身の経験を織り交ぜながら、草の根的な活動の重要さを説明します。本や人から聞いた知識ばかりを参考にして子どもの読書を考えていると、次第と頭でっかちになり現場の熱量も忘れてしまうことがあるそうです。そんな時に、読み聞かせなどで子どもたちと本の世界を共有すると、改めて読書の楽しみや読書が子どもに及ぼす効果を感じることができると話しました。

  佐藤さんは、書店ナビとしての立場として「書店を通い支えてほしい」と強調します。「全国からも注目を集めていた久住書店が閉店に追い込まれたことについて、私たちはもっと真剣に考えなければいけない。素敵な書店を見つけたら、今度行こうではなく、行ってみる。通う、通って残す、通い支えるということを実践してほしい」と来場者に呼びかけました。

パネルディスカッションのレコードグラフィック(グラフィッカー:丸藤健悟)

【分科会1】

分科会1では「本と出会う(乳幼児と本について)」をテーマに、乳幼児が本と出会うために必要なことを話し合いました。まず「なぜ乳幼児に本が必要か」という前提について解説し、乳児が本と出会う代表的な取り組み「ブックスタート」を紹介。参加者が住んでいる地域でのブックスタートの体験談をお聞きしました。プレゼントする冊数や、会場での読み聞かせの有無など、地域で様々だとわかりました。
 後半のディスカッションでは、それぞれの実体験をもとに「本との出会いに必要な要素」と「本との出会いを邪魔する要素」を整理していきました。まず焦点を当てたのは「親の意識」です。絵本を買うことが困難でも、親が図書館に連れて行ったり、読み聞かせ会に参加することによって、子どもが本に触れる機会を得ることができます。また「本はあくまでも道具であって、親がおはなしを『語る』ことができるなら、本が必要とは限らないのでは」との意見もありました。
 一方で、お母さん世代の事情を知る参加者から「共働きが増え、絵本を読み聞かせてあげる時間が確保できない」と指摘。第一部パネリストの鈴木浩一さんは、大人の意識を変える「大人向けの読み聞かせ」や、子どもを対象とした行政の働きかけを紹介。他の参加者からも「保育士が積極的に絵本を活用していたので、子どもが本好きになった」との声もあり、第三者による働きかけの大切さを確認しました。

【分科会2】

 「本に親しみ、本で学ぶ―小中学生の読書を考える」をテーマに開かれた分科会2は、約30人の参加者が知見を出し合いました。
 子どもたちの知的成長・成熟に対する「読書のはたらき」と「図書施設のはたらき」について、それぞれ会場から挙げてもらいました。前者については従来「好奇心を満たす=物語世界を取り込む喜び 知識や真理に触れる喜び」というイメージが優勢で、これが「読書=小説好き」という狭く固定的なイメージを生んでいました。会場からは「想像力を育む」「読解力を育む」「情報収集能力を育む」など、さまざまなはたらきが挙げられました。後者もこれまでは「知識・情報をもたらす」という教養主義的な見方が強かったのですが現在は「知識・情報・意見を受発信する場」「知識・情報・意見を共有する場」「危険を逃れる・孤独を癒す場」などの機能が注目されています。今後、社会はいっそう複雑さを増し、AIの驚異的な進化による構造的な変革も迫っています。読書は、そういった社会を「生き抜く力」を養う行為であり、図書施設は「生き抜く力」を養う場であるということを、分科会を通じて再確認しました。

【分科会3】

 分科会3では、一般社団法人北海道ブックシェアリングのボランティアスタッフ・堀純平がコーディネーターを務めました。一般参加者は19名。コーディネーターのサポートとして、ブックシェアリングボランティアの真木早苗さん、第一部より引き続き、ライターの佐藤優子さん、レコードグラフィッカーとして丸藤健悟さんが参加しました。
 メインテーマの「本と生きる」という言葉から連想されるワードやフレーズを参加者のみなさんに広く見いだしていただきました。これは、参加者自身が無意識のうちに実践している「本との関わり方」を顕在化することを狙いにしています。
 前半20分で、参加者自身に書き出してもらい、後半20分で、見えてきた「本との関わり方」を参加者全体で共有し、テーマが抱えている本質的な要素に迫りました。その中で共通して見えてきたのは、何かを知りたいという好奇心、欲求が根底にあるということです。「他者を知りたい」「新しい知識を得たい・世界を知りたい」という未知への好奇心が読書欲に繋がっているケースが多くみられました。また、こうした「好奇心」から、新たな関係性やコミュニティを形成する役割を果たしていることを確認できました。
 こうした要素を分科会全体で共有できたことは、大きな収穫でした。

【シンポジウムを終えて】 

 第1部では、北海道の読書環境が厳しい状況にあることを再認識するとともに、本のある場所が「単なる本好きの場所」だけではなく「暮らしに寄り添う」「人をつなぐ」場所に変わりつつあることを強く感じました。第2部の分科会では「読書」や「読書環境づくり」はひとりで楽しんだり取り組むだけではなく「共感したい協力することでより良いものになる」という響き合いの大切さを感じました。
 1部、2部を通じて繰り返し出たキーワードは「連携」です。読書環境の整備という課題についてシンポジウムの参加者だけではなく、関心を持つさまざまな方と連携し、解決に取り組みたいと感じました。
 今回のシンポジウムでは「レコードグラフィック」という手法を取り入れました。単なる板書ではなく、意見や情報を構造化して、ビジュアルとしてリアルタイムで描きだすことで、場の議論を整理し、フィードバックすることで課題解決を促進するものです。グラフィッカーを務めていただいた丸藤さん、林さん、橋本さんに心から感謝いたします。

【今後について】 

 今回のシンポジウムについて参加者に書いていただいたアンケートでは「公共図書館・学校図書館・書店の状況を横断的に捉え、情報の共有や討議をする場が必要だと感じた」という声がたいへん多く、当会の活動方針への賛同を確認することができました。
 10周年記念事業として開いたシンポジウムではありますが、このように素晴らしい追い風があるならば「次回は20周年で」というわけにはいきません。「毎年、開催しよう」ということで調整を進めています。そしてそれまでに隔月で「読書環境研究会」を開き、データや状況変化、先進事例を的確に押さえていこうと考えています。詳細は追って本誌「ぶっくらぼ」や、当会ホームページ、ブログ、フェイスブックなどで告知いたします。

「北の読書環境シンポジウム」の詳報は、

情報誌「ぶっくらぼ」の最新号で特集します!

 情報誌「ぶっくらぼ」の最新号で、「北の読書環境シンポジウム」の内容をレポートにまとめ、紹介された数値的データや会場の写真と一緒に掲載します。ホームページでご覧いただくよりも、整理されていて読みやすく理解しやすい小冊子になっていますので、ご希望の方は「ぶっくらぼ会員」のお申し込みをお願いいたします。ぶっくらぼ会員申し込みはコチラ(←クリック)から。お届けは、7月下旬を予定しています。

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